SDGsに取り組む奈良シリーズ④和ネイルチップ【大和藤花堂】

昨年12月、県商工会連合会、橿原商工会議所主催による『ビジネスマッチなら「NARA」から広げるSDGs Actions』のプレス発表会が行われました。奈良県内でSDGsを取り入れている事業者9社が参加。食品や原材料のロスを減らすなど、新たな発想や工夫によって開発されたSDGs(持続可能な開発目標)に絡めた商品やサービスを紹介しました。

「ナラトワ」では、この9社の事業者のうち7社を独自に取材。それぞれの企業の活動をシリーズでご紹介します。第4回目は、「大和藤花堂」の女性神職がつくる祈りの和ネイルです。

神職でもあり、曽爾村にてネイルサロン「大和藤花堂」を開業する藤田まりさん。「神社仏閣に息づくもの」、「おめでたい意匠」、「めぐる季節」などをテーマにネイルチップをデザインし、販売もしています。植物由来の原料からできた業界初の環境と健康に配慮したジェルネイルを使うなど、人体も環境も傷めないネイルを目指しているとのこと。宇陀郡曽爾村にあるネイルサロンを訪ね、お話しを伺ってきました。

「大和藤花堂」代表の藤田まりさん

Q:神職の方がネイルサロンをされているのは大変めずらしいと思うのですが、始められたきっかけを教えていただけますか?

私は12年間ほど、お寺にて事務職に就いていたのですが、ある時、お世話になっている宮司様から、「これからは女性の神職さんにも活躍してもらう時代だから、神社やお寺が好きなら勉強してやってみないか」という熱心なお誘いを受けたのです。1度きりの人生ですのでやりたいことをやろうと思い、神職になることを志しました。神職になるための資格取得のため、勉強を開始すると同時に、生活を支える収入源として、なにか時間を自由につかえる自営業ができないかと考えました。そこでネイルサロンをしようと思い、ネイルの勉強も始めたのです。

手元を見た瞬間、明るい気持ちになるデザインを志す

Q:どうしてネイルを選ばれたのでしょうか?

理由は、お一人のお客さまに対して時間をかけてゆっくりと向き合える仕事をしてみたいと思っていたこと。そして、ネイルはいつでもどこでも手元を見た瞬間に明るく嬉しい気持ちになれて人を励ます力があるため、これを仕事にできたら良いだろうと思ったからです。ネイルは決して華美に飾るためだけにするものではありません。爪や指先の清潔と健康に関わる仕事でもありますし、福祉事業等とも連携して、施設におられる方々に喜んでいただくこともできます。爪の健康、清潔に関する知識と技術を身に付けることに、清浄を大切にする神道に繋がるような意義も感じました。ネイルというのは、美術や芸術分野の一部でもございます。神仏に親しんできた経験や知識を何か表現できたらいいなと思いました。

Q:ネイルサロンを曽爾村で始めようと思われたのはどうしてですか?

私が生まれ育ったのは奈良市内なのですが、曽爾村は母の生まれ故郷で子供の頃からよく遊びに来ており、私の第二の故郷といえる場所です。ちょうど母の生家を建て直した家が空いていたんですね。近くに曽爾高原やお亀の湯などもあるので、お客さまには小旅行気分で訪れていただき、ゆったりと豊かな里山を満喫し、心身を充電していただくのにぴったりだと思いました。開業したのは2023年5月です。サロンを訪れて曽爾村の自然に触れ、好きになっていただくことで、将来的な里山保全に繋がればいいなと思っています。

自然の息吹を感じる曽爾村の里山にあるネイルサロン

Q:ネイルチップの販売も始められたんですよね。どんなデザインか紹介してください。

ネイルチップは、大切なものや人に触れる時にも極力お互いが傷つかず安全にとの想いから、全て短めです。神社仏閣由来の美をモチーフに、このピンク色のネイルは五色(ごしき)の紐を表現しています。お寺の特別参拝でいただけることのある五色の紐は、仏様との特別なご縁を結ばせていただいたという証として頂戴するものです。

水色のネイルは法要の時に蒔かれる散華を表現しています。散華とは、法要を執り行う際にお堂を清め供養をするために蒔かれる紙で、蓮の花弁を模しています。晴れ渡った青空にパッと散華が舞う瞬間を描きました。

金峯山寺の蔵王権現様のお肌の青を表現しました。金色は装飾品をイメージしています。

春日若宮おん祭りをイメージした絵柄です。太陽のようなものは雅楽に使われる火焔太鼓の頂点の飾りです。金銀のラインは、現在から未来へつなげてゆくお祭りと人々の営みを表現しています。

こちらは、ホルンの音で集まった鹿たちにドングリをあげる観光行事の鹿寄せをデザインしています。他にもどんぐりや紅葉など日本の四季なども取り入れています。

Q:環境への影響を配慮し、SDGsの取組みもされていると伺いました。

爪の健康を第一に考え、爪を傷めずに施術できる弱酸性のジェルネイル「シャイニージェル」を使用しています。これは爪を傷めずにジェルネイルを楽しんでいただけるもので、業界ではじめてトウモロコシ由来のバイオマス認定を受けています。こうした製品を積極的に使用することで、プラスチックマイクロダストの排出を削減でき、お客さまに長く健康的にネイルを楽しんでいただくことにも繋がります。今後は土に還る生分解性のプラスチック製ネイルチップの使用も検討中です。バイオマスジェルの素材や自分で剥がせるジェルなど、人体も環境も傷めないネイル素材と製品を使い続けていきたいと思っています。

人も環境も傷めないネイルを目指す

Q:将来への展望は?

神職を名乗って、神仏のデザインでネイルチップをというのは大変な勇気が入りました。神様、仏様に失礼のないようなデザインを心がけています。将来への展望は、祈りから生まれる奥深い日本の美を学び続けてお伝えしたいと思っております。神職としては人の幸せを願うのはもちろんのこと、辛い、苦しい、寂しい時でもネイルをふと見て、神様仏様がそばにいてくださると感じていただけたら、これ以上のことはございません。その気持ちを忘れずこれからも頑張っていきたいと思います。

豊かな里山を満喫しながらゆったり施術を受けられる

Q:どうもありがとうございました。

事業所名:大和藤花堂
住所:奈良県宇陀郡曽爾村掛
大和藤花堂 Instagram
ネイルサロンは公式LINEより、ネイルチップはBASEより受付。
ネイルチップは4600円~(送料無料)、フルオーダーあり

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