「奈良の木の学校」が開校?!奈良の木を、次世代に引き継ぐ新たな取り組みとは・・・

 毎週月~金曜日ゆうがた5時30分から放送している奈良テレビの「ゆうドキッ!」。10月8日からは毎週木曜日、4回にわたって「おおうえくにひろのエール!奈良の木」をお送りします。

 これは、自称“奈良の木・応援隊長”のおおうえくにひろさんが、奈良県が誇る「奈良の木」について調査し、その魅力を熱く語り、応援・お伝えするコーナーです。

第4回は「恒続林・次世代に引き継ぐ新たな取り組み」をテーマにお届けします!この“恒続林”とは、奈良の木を次世代に引き継ぐために県が推し進めている新たな取り組みで、行政としてこの恒続林に取り組んでいるのは奈良県だけなんです。

一体どのような取り組みなのか…「奈良県 森と人の共生推進室」室長補佐の藤平拓志さんにお話を伺いました。

※この記事は10月29日(木)に放送された内容です。

天然の力を最大限に活かした林業

今回、訪れたのは吉野林業発祥の地・川上村。1年前から県として恒続林のモデルケースに取り組んでいます。

藤平さん

「ここが恒続林の試験地になります!」

おおうえさん

「ここだけ空が開けた・・」

藤平さん

「台風とかで木が倒れて(太陽の)光が入って苗が育つんです。」

おおうえさん

「なるほど。この目印が付けられた木はなんですか?」

藤平さん

「これはミズナラというこの地域に固有の広葉樹で、試験的に植えました。」

おおうえさん

「ちなみに恒続林って具体的に何ですか?」

藤平さん

「いろんな種類の木を、いろんな年齢(樹齢)で、いろんな高さで育てることです。大きくなった木を抜き切りしてやることで、次の世代の木が育つので、ずっと森林の状態を保ちながら木材の生産が続けられる、だから恒続なんです。」

スギやヒノキなどの人工林は、すべてを収穫するまでに何度も間伐が必要となりますが、恒続林は様々な種類の木が、異なる樹齢・高さの状態で存在するので、収穫することが間伐と同じ効果になります。

また、根っこの張り具合が異なる様々な木があるので、根が絡まりあって山崩れが起きにくく、

木の種類が多いので、いろんな生物の住処になり生物多様性が豊かになります。

さらに、多種類の木があることで紅葉を楽しむことが出来るなど、良い面が沢山あります。

この恒続林を県が推し進めている背景には、放置林の増加があります。2011年に起こった紀伊半島大水害は森林の防災機能が低下したことの影響が大きいと考えられています。

そして、奈良県の未来の森林管理について参考にしたのが、スイスの森林管理でした。スイスは以前から、恒続林を進めています。

藤平さん

「今までの林業はどうしても手がかかるんですね。これから労働力も少なくなってくる時代に、天然の力を最大限に活かすような林業のやり方も、選択肢の1つとしてあっても良いのかなと思います。」

これからの県内の森林は、「恒続林」、スギやヒノキなどの「適正人工林」、人の手を必要としない「自然林」、昔からその地域に根付く「天然林」の4つにわけた姿を目指していきます。

記念にミズナラの苗を植えさせてもらいました。こちらが伐採できるようになるのはなんと約50年後!

おおうえさん

「やった~!でも伐採できるころ97歳です、僕。」

藤平さん

「僕は105歳です。」

おおうえさん

「一緒に見にきましょうよ!よろしくお願いします!」

奈良県フォレスターアカデミーが開校!

今回は、このシリーズ最終回ということでスタジオに「奈良県 森と人の共生推進室」室長の松田繁樹さんにお越しいただきました。

伊藤アナウンサー

「労働人口が減っていくのは奈良県だけでなく、日本全体の流れだから、それを見越して考えているというのは、すごいですね。」

おおうえさん

「そう、今から取り組んでいかないと、森林というのは時間がかかりますからね。僕が植えてきた苗、伐採は50年後でその時僕は97歳ですよ!」

伊藤アナウンサー

「何歳になっても、元気に山登りしましょうよ~!大きな木がしっかり育っていく山の姿って見ていたら安心しますよね。そして、その木を育てる人がいるんですよね。」

おおうえさん

「そうなんです。その人材を育てていこうということで、なんと令和3年4月に“奈良の木の学校”が出来るんです。」

松田さん

「はい。奈良県フォレスターアカデミーです。奈良県の森林・林業を担う人材を養成する教育機関として、令和3年4月に現在の県立吉野高等学校の敷地内に開校予定です。このアカデミーには修業期間が2年間、定員が5名の“フォレスター学科”と、修業期間が1年間、定員が10名の“森林作業員学科”を設置します。

“フォレスター学科”は、森林組合や林業会社などの将来の幹部候補として、地域の森林管理のコーディネーターや持続可能な森林づくりのアドバイザーとしての役割が期待される人材を養成。“森林作業員学科”は森林組合や林業会社の即戦力の作業員として、安全かつ効率的な森林作業ができる人材を養成します。」

おおうえさん

「そして、学生には様々なメリットや支援があるんですよね!」

松田さん

「はい、まずは在学中にいろんな資格が取ることが可能です。チェーンソーの取り扱いや木材の伐採・積み込みを行う林業機械の運転などの、森林作業に必要な様々な技能や資格です。さらに、年間最大約140万円の奨学金が支給されます。」

おおうえさん

「これは大きいですね!」

松田さん

「はい。さらに、この奨学金は国の『緑の青年就業準備給付金』という奨学金で、卒業後、一定期間林業関係の仕事に従事すれば返還が免除されます。卒業後の就職も、“林業関係の就職を専門に支援する団体”を通じてしっかりサポートいたします。」

おおうえさん

「安心ですよね!奈良県フォレスターアカデミーの出願期間は11月6日から、試験は12月13日です。詳しくは、奈良県 森と人の共生推進室で検索を!」

松田さん

「森林・林業に興味のある方、大自然の中で仕事がしたい方のチャレンジをお待ちしております!」

4回にわたってお送りしてきた「奈良の木」の魅力。守り育てる人々に思いを馳せたり生活の中に取り入れてみたりして、奈良の林業についてあらためて考えてみませんか?

※この記事は取材当時の情報です。

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