2020年、去年の4月に奈良県で一つの条例が制定されたのをご存じですか?『奈良県豊かな食と農の振興に関する条例』。これは、奈良の重要な地域資源の一つである「食」の魅力を高め、県民や県を訪れる人に安全で品質の良い農産物を提供し、食のブランド化を進めることで、県民の豊かな食生活や健康、観光振興などにつなげようとする条例なんです。そこで、こうした奈良の食の農の魅力をさらに高めようと奈良県主催のフォーラムが開かれました。ゲストはあの食レポ王・彦摩呂さん!一体どんなイベントになったのでしょうか?
■奈良の「食の魅力」をPR
「食と農の振興フォーラム」は、奈良の「食」と「農」の魅力を高め、「奈良にうまいものあり」をPRすることなどを目的に2月27日に奈良県コンべンションセンターで行われました。
奈良県 食と農の振興部・杉山 孝部長
「奈良県では食と農を一体的に盛り上げていきたいとの想いから、2020年4月に【奈良県豊かな食と農の振興に関する条例】を定めました。その一環で県民に奈良の美味しいものを知って欲しい、そういう機会にできればと今回、フォーラムを開催しました。」
■彦摩呂さんが”奈良のうまいもの”を語る!そして食べる!
このフォーラムには、あの食レポ王・彦摩呂さんが登壇し「食レポ王・彦摩呂が語る”奈良のうまいもの”」と題したスペシャルトークショーが行われました。トークショーでは、県産食材にこだわった”ならまち”にあるイタリアンレストラン「リストランテ リンコントロ」での食レポの模様も上映!
彦摩呂さん
「まさにガーデニングや!」
「リストランテ リンコントロ」オーナーシェフ・西岡 正人さん
「低温調理した大和肉鶏のローストになっています。」
彦摩呂さん
「鶏のほど良い脂と地鶏の歯ごたえですか!大和肉鶏のレバーをソースにしてるんですよ。レバーランド!いま口の中でピーターパン飛んでますよ。」
「リストランテ リンコントロ」オーナーシェフ・西岡 正人さん
「こちらは、自家製のクリームチーズをベースに作ったチーズのムースですね。あわせているものが奈良県産のイチゴ・古都華なんですけれども、甘み、コクのあるイチゴですね。」
彦摩呂さん
「酸味と甘みとイチゴの香りと食感と…デザートのリモート会議みたいな。みんな繋がってすごいですね!」
食レポ上映の後も、彦摩呂さんは奈良で出会った食材について熱く語りました。
彦摩呂さん
「古都華は本当に美味しい!上から食べても下から食べても横から食べても全部美味しいし、甘いねん!」
「(下北春まなは)エグみ全然ないんですよ。まろやかな、下北春まな自体の甘みがすごかった。奈良の食はまさに!文化と食材の宝石箱や~!」
■パネルディスカッションには門上武司さんも!
トークショーに続いては、奈良の食と農に携わる人たちによるパネルディスカッションです。料理雑誌「あまから手帖」の編集顧問、門上 武司(かどかみたけし)さんがコーディネーターを務めました。
パネリストには、奈良で活躍する一流の料理人や生産者など4人が顔を揃え、奈良の食と農について、いくつかのテーマに分けて議論されました。
一般社団法人奈良のうまいもの会 専務理事 和食井上 店主・井上 昇さん
「食べて心が落ち着く、癒されるものが奈良の美味しいものになってくるんじゃないのかなと思います。」
寺田農園株式会社 代表取締役 奈良県指導農業士・寺田 昌史さん
「奈良は夏が暑くて冬が寒い、ということは必然的にフルーツがめちゃくちゃ甘くなる。”御所土”に代表されるように土が良いので野菜も美味しくなる環境が整っている。」
アコルドゥ オーナーシェフ・川島 宙さん
「奈良には伝統野菜があります。他府県にはこれほど揃っているところはない気がします。」
パネリストらは、奈良の食と農へのこだわりを、自身の経験などを交えてトークを展開。後半は、奈良の食と農の未来についての討論が行われ、それぞれの立場から提言がありました。
一般社団法人奈良のうまいもの会 専務理事 和食井上 店主・井上 昇さん
「この10年ほどで生産者を含め、同業者のネットワークがすごく構築されてきた感があります。そこに消費者も入って三角関係が、今後、信頼関係として構築されると奈良の食がより強固なものになっていくのではないかなと思っています。」
アコルドゥ オーナーシェフ・川島 宙さん
「どう料理を見せていくのか、美味しい、まずい、うまいだけではなく想いをキチンと表現していくということ、生産者の想いや奈良県に対するみんなの想いをどう表現するかが料理人の役割なのかなと思っています。」
奈良県 食と農の振興部・原 実次長
「『ガストロノミーツーリズム』は、その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズムのことで、これを奈良県でもしっかりと進めていきたいと考えています。」
――熱い議論が繰り広げられた今回のフォーラム。進行役を務めた門上さんが思う、奈良の食と農の未来とは?
料理雑誌「あまから手帖」編集顧問・門上 武司さん
「奈良が持つ歴史の深さ、それを生産者、料理人、行政の方も含めてしっかりと理解をしている、その歴史と今ある姿を見事に結びつけている、それを大きな資産にして自分たちの仕事に活かしている。それがこれからの未来につながっていく大きな原動力になると思いました。」
美味しい奈良の食と農の魅力を語り、さらに充実しようと関係者が一堂に会した今回のフォーラム。今後、奈良の食と農の評判がさらに高まる日が来るのも近いのかもしれません。
■奈良県プレミアムセレクトとは?
食と農の振興フォーラムの中では、食のブランド化に関して『奈良県プレミアムセレクト』の取り組みも紹介されました。これは、県産の農畜水産物の中で、大きさや外観だけではなく、品質面でも優れた特徴を持つ産品と、それを生産・販売する団体を県が認証する制度です。「富有柿(ふゆうがき)」や「古都華」、「大和牛(やまとうし)」など現在6産品が認証されていますが、これらは生産方法や品質面で基準を定めたりして農畜水産物のブランド管理を行うものです。
■ガストロノミーツーリズムとは?
さらに、いま注目されているのが”ガストロノミーツーリズム”という言葉です。食を通じてその土地の自然や文化を体験する観光のことで、 新しい観光の手法として奈良県が注目しているものです。その土地の美味しいものを食べれば、その土地のことが好きになりますよね。
このフォーラムをきっかけに「奈良にうまいものなし」ではなく「奈良にはうまいものだらけ」と、各地を食べ歩いてもキリがないと言われると嬉しいですね。なお、フォーラムの様子は、奈良県の「豊かな食と農の振興課」のホームページにアクセスすると 見ることができます。こちらも是非、ご覧ください。
※この記事は奈良テレビ放送「ゆうドキッ!」で3月5日に放送されたものです