【単独インタビュー】高市経済安全保障担当大臣 経済面から日本を守る「使命」

 高市早苗さんは奈良2区選出の衆議院議員で当選9回、2006年の第1次安倍内閣で内閣府特命担当大臣として初入閣した後、自民党政調会長や総務大臣を務めました。

安倍元総理の支持を受けた去年の自民党総裁選では国会議員票で2位となるなど健闘し、岸田政権発足に伴い、再び党の政調会長を務めていました。そして、8月10日に発足した第2次岸田改造内閣では経済安全保障担当大臣に就任。

経済安全保障は岸田政権の主要政策であり、内閣の中核として重要な役割を担います。9月2日、東京都内の大臣室で、高市早苗さんが奈良テレビの単独インタビューに応じました。

記者:就任から数週間が経ちましたけれども、今どうですか。お忙しいですか。
高市氏:そうですね。まずは今年の5月に経済安全保障推進法が成立しましたけれども、その法律の施行、つまり効力を発揮するのがですね、今年の年末、来年、再来年と一番遅いものでしたら公布から2年以内ということなんですが、それに従って何を対象にするかとかですね、その下に来る法令を決めていかなきゃいけないということで、経済安全保障の仕事はマジで忙しいです。それから、同時に担当しております科学技術の担当大臣、あと宇宙の担当大臣といったこともやっておりますので、各省非常に幅広く広がっております。各省が担当してる科学技術の予算も見ておりますし、そういう意味では、とても所掌が広くてきついです。特に概算要求がございましたので、それに向けて様々な調整をしておりました。

高市さんが施行に向けて準備を進めるのは今年5月に成立した「経済安全保障推進法」です。国の重要な資源などを守るための法律で、「サプライチェーンの強靭化」、「基幹インフラの安定供給」など4つの柱で構成されています。

高市氏:一つは何が起きても日本人の生活とか産業に必要な物資、これがちゃんと調達できるというサプライチェーンの強靱化というのがございます。これもう散々コロナの時にマスクが足りないとか、消毒液がないとか、それから医療用ガウンがないとかね、注射器がないとか、しまいに人工呼吸器が足りないとか、そういったことを多くの方も「これも海外で生産してたんだ」と、「国内では調達できないんだ」ってことに気が付いたと思うんです。それから半導体も災害なんかがあったときに一度供給が止まって自動車の生産も止まりましたよね。だからそういうこともありますので、やっぱり産業や生活に必要なものがしっかりと供給される、こういう状況を作る、その対象を決めていかないといけないわけです。どの物資が本当に重要なものであるかどうか、そういう作業もありますし、やはり、これは科学技術の担当大臣としても経済安全保障担当大臣としても重視しているのが、お薬を作る力の強化ですね、やはり治療薬やワクチン、コロナの時でもやっぱり国内ですぐに増産して、調達できるっていうことじゃなかったので、やっぱりお薬を作る力、創薬力の強化っていうところはこれから頑張っていきたいとこですよね。

法律の成立はあくまでも経済安全保障の取り組みの第一歩と話す高市さんは今後、さらなる課題に取り組みたいと意欲を示します。

高市氏:法律の中身としては重要技術が海外に流出しないようにと、特に特定の国に流出した場合、日本人の私達が普通に民生技術として考えてる耐熱素材ですとかね、流体力学の研究とか、あとスクラムジェットエンジンの技術とか、日本がすごい強い分野の技術が外国の致命的な兵器に使われちゃってると。技術が流出しているという事実がございますので、これを何とか止めていかなあかんということです。これも法律の中には書き込まれたのですが、抜け落ちてるのが「セキュリティ・クリアランス」というもので、つまりその重要な情報にアクセスできる人はどういう人なのかと、それをきちっと定めるということが抜け落ちているので、非常にこれ難しい作業なんですが、このセキュリティ・クリアランスというものを加えた法改正をもう一度やりたいな、チャレンジしたいなと思っております。

記者:7月8日、演説中の安倍元総理が銃撃され死亡した事件。安倍元総理と深いつながりのあった高市さんはこの事件を受けて、いかがですか。

高市氏:もう安倍総理とはですね、ものすごい長いこと色んな事を一緒にやってきました。特に印象に残ってるのは平成9年、もう大昔ですけれども、私が当選2期のときに教科書問題、教科書を良くしようという活動を始めて、安倍総理が事務局長で私が幹事長代理っていう。当時2人とも若手議員だったんで、若手議員の会っていうのを作って一緒に活動して、もうそこから色んな課題に一緒に取り組んできました。そう考えるともう色んなことをずっと一緒にやってきたな節目節目で、と思います。だから、私にとっても大切な同志であり、お世話になった方でもあり、その方が本当によりによって奈良県で凶弾に倒れられたっていうのは辛かったですよ、もう辛いなんてもんじゃなかったですし、でも一部報道見てると、何かこう、殺人を正当化するような言いぶりをされる。そういうコメントを出してらっしゃるところもあるんで、それはどんな事情があっても、人を殺すってことは許されてはならないことだと思います。

記者:この事件をめぐり、世界平和統一家庭連合=旧統一教会と政治との関わりが相次いで明らかになる中、高市さんと旧統一教会との関わりは?

高市氏:選挙の応援はいただいてませんし、それから資金のやりとりといったこともございませんし、何か行事に出席したこともございませんし、私の事務所から祝電をお出ししたということもございません。ただ、21年前に当時私が大好きだった評論家の細川隆一郎先生に誘われて、ちょっと座談会やるんで来ないかって言われて。それが出ていたメディアが、関連団体だとされていたビューポイントという雑誌。世界日報系ですかね、だったということが国会図書館で調べていただいてわかったので、それを報告いたしました。

記者:ここからは地元・奈良のお話を聞いていきたいなと思うんですけれども、高市大臣が奈良の可能性についてどんなふうに考えていらっしゃるのか教えてください。

高市氏:やはり新型コロナウイルスも一つのきっかけだったと思うんですが、一挙にテレワークは広がりましたよね。そして遠隔教育とか遠隔医療というのも広がりました。そうすると奈良で働く場所を増やそうと思うと、やはり理系人材が多いことがすごく大事で、しかも、やはり情報対応力、要はAIですとか、IoT分野に強い方というのはものすごくこれから大事だと思います。だから、AI教育はできるだけやってほしいし、これからはやはり量子の時代に入っていくと思いますので、こういった分野で、奈良県が強みを発揮できたらすごい発展していくと思いますね。

記者:奈良県民にメッセージをお願いします。

高市氏:今は科学技術や経済安全保障の仕事をしています。科学技術というのは本当に幅広い分野でございます。奈良県、それから日本がですね、これからイノベーションを起こして競争力を強くしていって、これから学んでいかれる方々がですね、将来働く場所がたっぷりあるような、そんな日本を作るために、いま頑張りたいと思ってますので、これからもよろしくお願いいたします。

記者:最後に、次の総裁選についてお聞きします。

高市氏:お利口ちゃんな答えをすると、いま岸田内閣の一員として精一杯努めております。それに全力投球をしなければ申し訳ないので、一生懸命働きます。高い志は持ち続けます。

※この記事は取材当時の情報です。

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