古民家カフェならぬ古民家フレンチ?ならまちの町家の中で舌鼓

毎週月~金曜日ゆうがた5時30分から放送している奈良テレビの「ゆうドキッ!」では「奈良にうまいもんあり!」と題して、プロの料理人に紹介してもらった美味しいお店をつないで紹介していきます。

※この記事は4月24日(月)に放送された内容です。

おだやかな古い町並みが残るならまちの中に、本格的なフレンチが楽しめるお店があるとのことで伺ってみました。「ル ギャマン ならまち」は元興寺の近く、ならまちの町家を活用したフレンチレストランで、2022年にオープンしました。

お店の中は高い吹き抜けの天井で、解放感抜群です。ウナギの寝床といわれる間口の狭く奥行きのある町家の中でも窮屈さを感じさせません。「ル ギャマン ならまち」では梁や柱など随所で安らぎと木のぬくもりを感じる空間でフレンチのコース料理を楽しめます。

店主でシェフの石橋さんはフレンチに携わっておよそ20年。フランス・中国・大阪で腕を振るい、おいしい料理を作ることに専念してきました。そんな方がなぜ奈良にお店を構えることになったのでしょうか。

店主・シェフ 石橋健児

「もともとぼくは奈良にご縁がなかったんですが、この近くに友人のやっているパン屋さんがあり、オープンしてすぐのころ、週末だけお手伝いで入っていたのが奈良に来るようになったきっかけです。そして、たまたまこの町家をご紹介いただいて、素敵だなと思ってここに開きました。カウンター席が好きですし、ここでお客さんに仕上げる過程を見ながら待ってもらえたらと思います。」

ランチとディナーはそれぞれ2コースずつ。今回はランチの5000円のコースから主な料理を紹介していただきます。

前菜の盛り合わせです。

まずは塩漬けした鱈とマッシュ状のジャガイモを合わせた料理「ブランダード」をいただきます。今日はその上に、紋甲イカと菜の花を刻んだものがタルタルにして添えられています。食感のアクセントにクルトンと、少しだけからすみが散らされています。

春らしく、彩りの良い見た目で崩すのがもったいない気持ちもありますが、全部を一度に味わってほしいとのことで、フォークで少し崩して一口。
クルトンのサクサクとした食感が楽しく、ジャガイモの滑らかさ、塩気がきいた味付け、すべてがハーモニーを奏でています。

次に淡路どりのモモ肉をロール状にして低温で調理した「淡路どりのしっとりハム」です。ハムの下にはレンズ豆と菊芋を固めにゆでて細かく切り、和えたものが添えられています。ハムはしっとりやわらかく、菊芋のシャキシャキとした食感がおいしいです。

最後に、なじみのある方も多いはず。野菜の煮込み料理「ラタトゥイユ」です。上に北海道産のモッツァレラチーズと切りたてのスペイン産の生ハムが添えられています。目でも楽しんでもらえるようにと、パセリとほうれん草の緑色のソースとにんにくの白いソース、パプリカの赤色のソースががかけられています。一口食べると様々な風味が広がり、おもわず笑みがこぼれてしまうおいしさです。

お次は心がわくわく踊る、メインの肉料理です。

まず目を引くのが、緑色に包まれたお肉。ほうれん草のソースで柔らかく煮込んだ「イベリコ豚のほほ肉」です。約80度のオイルで5~6時間にわたってゆっくり火を入れ、肉汁やうまみを逃がさない調理で仕上げられています。

その隣にあるのが「宮崎県産 牛ヒレ肉」です。とっても柔らかくて脂っぽさがありません。ソースもとてもおいしいです。

ワイン好きという石橋さんに南フランス産の「ピノ・ノワール」をご用意していただきました。

飲みやすくてさわやか、渋みの少ないワインです。赤ワインの魅力を尋ねると「酔っぱらえるから」とおちゃめな石橋さん。

店主・シェフ 石橋健児
「2、3種類くらい一緒に飲んでみると違いが判ります。どれが良い悪いとかでなく、作った年や作り手によっていろんなタイプがあって面白いですよ。」

最後にデザートをいただきました。

黒糖を使ったプリンと黒糖を使ったフィナンシェとのことですが……フィナンシェといえば四角い形が特徴ですよね。しかし、提供されたのはマドレーヌのような貝殻の形をしたもの。どんな意図があるのかと思いきや、単純に「型がない」という理由でマドレーヌの型を使って作っているとか!肝心の味ですが、バターの香りと黒糖の甘みがベストマッチです。

プリンも黒糖のカラメルソースが滑らかなプリンと最高にあっています。

店主・シェフ 石橋健児
「昨年6月にオープンして、まだまだ知られてない部分もあると思うので、ご近所の方にも来て欲しいですし、奈良の食材もいろいろ面白いものもあるので、積極的に使っていきたいと思いますね。」

フランス料理というと少しなじみが薄く敷居の高い印象を受けますが、石橋さんが気さくでお茶目な方なので、肩の力を抜いて純粋に見た目の美しさや食材の味を楽しめるのが「ル ギャマン ならまち」の良さですね。ぜひ、ちょっとしたお祝い事やご褒美ランチなどで気軽に訪れてみてはいかがでしょうか。

■店名 ル ギャマンならまち

■住所 奈良市公納堂町10

■営業時間

ランチ 11:30~15:00

ディナー 18:00~21:00

■定休日 月曜/日曜のディナー

■お電話 0742-55-9205

※この記事は取材当時の情報です。

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